足底腱膜炎の原因と効果的な治療法について

足底腱膜炎とは?

足底腱膜炎(そくていけんまくえん、Plantar Fasciitis)は、足の裏にある足底腱膜(足のアーチを支える組織)が炎症を起こし、痛みを引き起こす疾患です。特にかかとの内側に痛みが生じることが多く、朝の一歩目で強い痛みを感じるのが特徴です。


原因

足底腱膜炎は、足底腱膜に繰り返し負担がかかることで炎症が生じると考えられています。主な要因には以下のようなものがあります。

過度な運動:ランニングやジャンプを多く伴うスポーツ(陸上競技、バスケットボールなど)
長時間の立ち仕事:看護師、販売員、工場作業など立ちっぱなしの職業
足のアライメント異常:扁平足やハイアーチ(甲高)
靴の影響:クッション性が低い靴や硬い靴を履いている
加齢:40代以降に発症しやすく、腱膜の柔軟性が低下する
肥満:体重が増えることで足底腱膜への負担が増す


症状

・朝起きて最初の一歩が特に痛い(歩いているうちに少し楽になる)
・ かかとの内側や足底中央部の痛み
・長時間の歩行や立ち仕事で痛みが増す
・つま先立ちをすると痛みが悪化する


診断

診察では、圧痛(かかとの内側を押すと痛い)があるかどうかを確認します。また、レントゲン撮影を行うこともあり、骨棘(かかとにできる骨の突起)が認められることがありますが、これは痛みの直接的な原因ではありません。


治療

足底腱膜炎の治療は保存療法が中心です。

ストレッチ・リハビリ

・ ふくらはぎのストレッチ(アキレス腱伸ばし)
・ 足底腱膜のストレッチ(タオルを使って足裏を伸ばす)
・ ゴルフボールやテニスボールで足裏をほぐす

靴の工夫

・クッション性の高いインソールを使用
・ 硬い靴底や踵が薄い靴は避ける

アイシング・痛み止め

・ 痛みが強いときはアイシング(15〜20分程度)
・消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用(必要に応じて)

体重管理

・減量することで足底への負担を軽減

装具療法

インソールなどの装具を使用すると、足底腱膜の伸張性を改善できる

リハビリや体外衝撃波治療(ESWT)

リハビリによる筋力トレーニング(特に足趾・足底筋の強化)
慢性化した場合、体外衝撃波治療(ESWT)が有効なこともある

ステロイド注射(最終手段)

重症例ではステロイド注射を行うこともあるが、頻繁に行うと腱膜が弱くなるため注意


予防

・適切なストレッチ・筋力トレーニングを習慣化
・クッション性の良い靴やインソールを使用
・長時間の立ち仕事を避ける・適度に休憩をとる
・ 急な運動の増加を避ける(特にランニングを始めたばかりの人は要注意)


まとめ

足底腱膜炎は適切なストレッチや靴の工夫で改善することが多いですが、長期間放置すると慢性化しやすいため、痛みを感じたら早めに対処することが重要です。

もし痛みが続くようなら、整形外科で診察を受けることをおすすめします。

担当:金澤