扁平足(へんぺいそく)の原因・症状と治療法 ―世田谷区・豪徳寺整形外科クリニック 院長解説ブログ―

導入:土踏まずがなくて足が疲れやすい…それ、放っておいて本当に大丈夫?

「長時間歩くと土踏まずが痛む」「子どもの足裏がペタッと床についている」――こうしたお悩みは、扁平足が関係しているかもしれません。ただし、扁平足のすべてが治療の対象になるわけではありません。お子さんの扁平足は成長とともに土踏まずが形づくられていくことが多く、痛みなどの症状がなければ治療は必要ありません。一方、痛みが続く場合は、足だけでなく膝や腰にも負担が及ぶことがあります。当院では小児から成人まで幅広く診療しており、安心してご相談いただけます。


1. 扁平足とは?:土踏まず(内側縦アーチ)が低下した状態

足の骨が弓なりにつくるアーチ構造は、歩行時の衝撃を吸収するサスペンションの役割を担います。このアーチがつぶれて平らになった状態が扁平足です。小児期は成長につれて(おおむね10歳ごろまでに)自然にアーチが形成されていくことが多く、痛みなどの症状がなければ経過をみます。ただし、つま先立ちをしても土踏まずが現れない(硬い扁平足)、片足だけ目立つ、痛みを伴うといった場合は、足根骨癒合症などほかの病気が隠れていることがあり、検査が必要です。また、成人後に土踏まずが低くなって痛みや機能障害が続く場合は、小児の柔らかい扁平足とは異なる病態で、治療が必要となることがあります。

1-1 背景・原因

  • 先天的要因:生まれつきアーチ形成に必要な骨配列や靱帯のゆるみが見られるケースがあります。ゆったりめの靴で過ごす文化なども影響します。
  • 後天的要因:加齢や体重増加、長時間の立ち仕事などが重なると、アーチを支える後脛骨筋腱や足底腱膜に負担が積み重なり、腱の変性(いたみ)が進んでアーチを支えきれなくなることがあります。
  • スポーツ・靴の影響:クッション性に乏しい靴やサイズ不適合のシューズはアーチ部のストレスを増やします。

2. 考えられる関連疾患

アーチ低下が進むと扁平足以外にも複数の足部障害を招く可能性があります。

  • 足底腱膜炎
    アーチが低いと母趾球~踵を結ぶ足底筋膜が過緊張し、朝の一歩目に強い痛みを感じます。
  • 後脛骨筋腱機能不全(PTTD)
    アーチ支持の要である後脛骨筋腱が変性・損傷し、成人期に内くるぶしの後ろの痛みとともにアーチの低下が徐々に進む疾患です。小児の柔らかい扁平足とは異なり、進行性の経過をとるため、早めの評価が大切です。
  • 外反母趾・シンスプリントなど
    足のバランスの変化が膝から下のアライメントにも影響し、母趾の付け根の変形やすねの内側の痛みと関連することがあります。

3. 診断・検査

当院では以下の手順で総合的に評価します。

  1. 視診・触診・姿勢評価
    立位で土踏まずの高さ、踵の傾き、歩行パターンを確認。
  2. X線撮影
    立位側面像で距骨の軸と第1中足骨の軸がなす角度(Meary 角)などを測定し、変形の程度を評価します。
  3. 超音波・MRI
    痛みが強い場合は後脛骨筋腱や足底腱膜の状態を詳細に評価します。

4. 治療内容

4-1 保存的治療(まずはここから)

  • インソール療法
    オーダーメイドまたは既製品でアーチを支え、足にかかる負担を分散して痛みや疲労をやわらげます。靴に合わせて調整可能です。ただしインソールは主に症状をやわらげるための治療で、足の形(変形)そのものを元に戻すものではありません。お子さんの場合も、インソールや矯正靴で土踏まずが形づくられるという十分な根拠は示されていないため、痛みや疲れやすさなどの症状があるときに使用します。
  • 足底筋・後脛骨筋トレーニング
    タオルギャザー(タオルを足指でたぐり寄せる運動)やカーフレイズでアーチを持ち上げる筋力を鍛えます。
  • 体重管理・靴の見直し
    体重過多はアーチの沈下を促進します。クッション性とフィット感に優れたシューズ選びも重要です。

4-2 外科的治療(保存治療で改善しない例)

重度の変形や後脛骨筋腱が断裂している場合は、腱移行術や骨切り術でアライメントを矯正します。手術適応は慎重に検討し、術後は装具とリハビリが欠かせません。当院は手術を行う施設ではないため、手術が必要と判断した場合は提携医療機関の専門医へご紹介し、術後のリハビリを当院で継続してフォローします。


5. 当院での対応

  • 総合評価と段階的プラン
    診察当日に症状とライフスタイルに合わせた治療プランを提案します。
  • リハビリ専属スタッフ常駐
    姿勢・歩行指導を実施し、トレーニング継続をサポートします。

まとめ・受診案内

扁平足そのものは、症状がなければ必ずしも治療が必要なものではありません。一方で、痛みを我慢したまま放置すると、足・膝・腰へ連鎖的に負担が広がることがあります。痛みが続いたりスポーツパフォーマンスに影響したりする場合は、早めに診察を受けることをおすすめします。お気軽にご相談ください。


要約(重要ポイント)

  1. 扁平足はアーチ低下により衝撃吸収能が落ちる状態で、疲れや痛みの原因となることがある(症状がない場合も多い)。
  2. 原因は先天的要素と後天的要素が混在し、加齢・体重増加・靴選びも影響。
  3. 関連疾患として足底腱膜炎や後脛骨筋腱機能不全などが続発する可能性がある。
  4. 診断は視診・触診・X線で重症度を評価し、治療方針を決定。
  5. 保存療法ではインソールと筋トレが中心で、生活習慣の見直しが重要。
  6. 外科的手術は重度例に限り検討し、術後リハビリが必須。
  7. 豪徳寺整形外科クリニックでは多職種で連携し、お子さんから成人まで幅広く対応(手術が必要な場合は提携医療機関へご紹介)。
  8. 痛みが続く場合は早めに整形外科へ。症状のない扁平足は、あわてて治療する必要はない。

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