「骨そしょう症の注射で顎の骨が溶けるって本当?」整形外科医がわかりやすく解説|豪徳寺整形外科

骨粗しょう症の注射で「顎の骨が悪くなる」と聞きました。大丈夫ですか?

「骨粗しょう症の注射を始めると、顎の骨が溶けることがあると聞いて不安です」

診察室でよくいただくご質問です。
今日は、イベニティやプラリアといった骨粗しょう症の注射薬と、「顎骨壊死(がっこつえし)」について、できるだけわかりやすくお話しします。

結論:骨粗しょう症の治療量では、とてもまれです

まず結論からお伝えします。

骨粗しょう症の治療で使う量のイベニティやプラリアで、顎骨壊死が起こることは非常にまれです。
特に、がん治療などで使われる高用量の薬と比べると、骨粗しょう症治療でのリスクはかなり低いと考えられています。

ただし、「絶対に起こらない」というわけではありません。

数字で見ると、イベニティでは約5,900人に1人、プラリアでは約1,000人に1〜3人程度と報告されています。どちらも頻度としては低く、日常的によく起こるものではありません。
大切なのは、必要以上に怖がって治療をやめてしまうことではなく、歯科ケアを含めてきちんと予防しながら治療を続けることです。

骨粗しょう症の治療は、背骨や大腿骨の骨折を防ぐためにとても重要です。骨折によって歩けなくなったり、生活の自立度が下がったりすることを防ぐ意味があります。

顎骨壊死とは?

顎骨壊死とは、顎の骨の一部が治りにくくなり、骨が露出したり、感染を起こしたりする状態です。

骨粗しょう症の薬には、骨が過剰に壊れるのを抑える働きがあります。これは骨折予防には大切な作用です。
一方で、顎の骨では抜歯などの傷ができたときに、治るまでに時間がかかることがあります。

特にきっかけになりやすいのは、次のような場合です。

  • 抜歯
  • インプラントなどの外科的な歯科治療
  • 歯周病や虫歯を放置している
  • 口の中の清掃状態が悪い
  • ステロイド薬を長く使っている
  • 糖尿病などで感染に弱い状態がある

つまり、顎骨壊死の予防では「お口の中を良い状態に保つこと」がとても大切です。

治療を始める前にできること

予防のためには、次のことが大切です。

  • 抜歯など大きな歯科治療は、できれば開始前に済ませる
  • 毎日の歯みがきを続ける
  • 歯科で定期的にクリーニングを受ける
  • 治療中に抜歯が必要になったら、自己判断で薬を止めず、歯科と整形外科に相談する

骨粗しょう症の治療量であれば、歯科治療のたびに必ず薬を中止するわけではありません。
ただし、歯の状態や全身状態によって判断が変わるため、歯科医師と整形外科医が相談して決めることが大切です。

イベニティとエディロールは一緒に使って大丈夫?

「イベニティとエディロールを一緒に使っても大丈夫ですか?」という質問もよくあります。

多くの場合、併用は問題ありません。
むしろ、骨粗しょう症の治療ではカルシウムやビタミンDの状態を整えておくことが大切です。

イベニティやプラリアの治療中は、血液中のカルシウムが下がりすぎないよう注意が必要です。エディロールはビタミンD製剤で、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。

ただし、腎臓の機能が低下している方や、もともとカルシウム値が高くなりやすい方では注意が必要です。
そのため、当院では血液検査でカルシウム値などを確認しながら治療を進めています。

こんなときは早めにご相談ください

治療中に次のような症状がある場合は、早めにご相談ください。

  • 顎や歯ぐきの痛み、腫れ、膿が続く
  • 抜歯した場所がなかなか治らない
  • 口の中に骨のような硬い部分が見える
  • 口の周りのしびれ、ピリピリ感がある
  • プラリアの次の注射が予定より遅れている
  • イベニティを検討中で、過去1年以内に心筋梗塞や脳卒中があった

特にプラリアは、自己判断で中断すると背骨の骨折リスクが高くなることがあります。予定がずれそうな場合は、早めにご相談ください。

当院での対応

豪徳寺整形外科では、骨粗しょう症の治療を始める前に、骨密度検査や血液検査を行い、カルシウムやビタミンDの状態を確認しています。

イベニティやプラリアを使用する場合は、歯の状態、過去の病気、腎臓の機能、心筋梗塞や脳卒中の既往などを確認したうえで、お一人おひとりに合った治療計画を立てます。

必要に応じて歯科受診もおすすめし、治療中も血液検査を行いながら安全に続けられるよう確認しています。

まとめ

イベニティやプラリアによる顎骨壊死は、骨粗しょう症の治療量では非常にまれです。
ただし、抜歯や歯周病、口腔内の感染がきっかけになることがあるため、歯科ケアはとても大切です。

怖いイメージだけで骨粗しょう症の治療をあきらめる必要はありません。
骨折を防ぐことは、将来の歩行や生活の自立を守ることにつながります。

不安なことがあれば、遠慮なくご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療を保証するものではありません。症状やお薬については自己判断せず、必ず医療機関にご相談ください。

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