「血液検査でリウマチの数値が正常でもリウマチのことはある?」整形外科医がわかりやすく解説|豪徳寺整形外科

「先生、リウマチの血液検査が全部正常だったんですけど、リウマチじゃないってことですよね?」

関節の痛みや腫れが気になって受診され、血液検査をした結果、CCP抗体(抗シトルリン化ペプチド抗体)もリウマチ因子(RF)もCRP(炎症の数値)も血沈もすべて正常値——。そんな結果を見て「よかった、リウマチじゃなかった!」と安心される方は多いです。 ですが、実はこれらの検査がすべて正常でも、関節リウマチ(RA)の可能性はゼロではありません。今回は、この「隠れリウマチ」について、わかりやすくご説明します。

結論:リウマチの血液検査が正常でも、リウマチの可能性はあります

関節リウマチの患者さんのおよそ2〜3割(5人に1人から3人に1人ほど)は、リウマチに関係する血液検査(CCP抗体・リウマチ因子)が陰性のまま経過します(報告によって幅があります)。これを医学用語では「血清反応陰性RA(セロネガティブRA)」と呼びます。 さらに、病気の初期段階ではCRPや血沈(炎症の指標)も正常範囲にとどまることがあるため、「採血が全部正常=リウマチではない」とは言い切れないのです。

なぜ血液検査で引っかからないリウマチがあるの?

関節リウマチは、免疫の仕組みが自分自身の関節を攻撃してしまう病気です。多くの場合、CCP抗体やリウマチ因子という「免疫の異常を示す目印」が血液中に現れます。どちらも関節リウマチの7〜8割の方で陽性になります。 ただし、この2つは性質が異なります。リウマチ因子はリウマチだけの目印ではなく、健康な方(特にご高齢の方)や、肝臓の病気・感染症などでも陽性になることがあります。一方のCCP抗体は、関節リウマチ以外で陽性になることが少ない(特異度が高い)検査です。いずれにしても、陽性・陰性だけで診断が決まるわけではありません。 そして、隠れリウマチ(血清反応陰性型)では、これらの抗体が作られないまま関節の炎症が起きています。なぜ抗体が現れないのかは、まだ十分に解明されていません(通常とは異なる免疫の仕組みが関わっていると考えられています)。関節を攻撃する炎症は起きているのに、血液検査ではそれが「見えない」のです。 被害(関節の炎症)は確かにあるのに、証拠(血液の異常値)が見つからない——そんな状態です。

こんな症状があったら要注意——受診の目安

採血が正常でも、以下のような症状がある場合は、隠れリウマチの可能性を考える必要があります。
  • 朝のこわばりが30分以上続く(起床時に手指がこわばって動かしにくい)
  • 手の指の関節(特に第2・第3関節)が腫れている
  • 左右対称に関節が腫れる(両手のMCP関節やPIP関節など)
  • 6週間以上、関節の腫れや痛みが続いている
  • 握力が落ちた(ペットボトルの蓋が開けにくいなど)
これらの症状は、血液検査の結果に関わらず、関節リウマチを疑うサインです。 ただし、これらはあくまで受診の目安です。診断そのものは、腫れている関節の数と部位・血液検査・炎症の数値・症状が続いた期間を組み合わせた国際的な基準(2010年ACR/EULAR分類基準)を参考に、診察や画像検査とあわせて総合的に判断します。血液検査が陰性の場合はこの基準の点数が加わらないため、腫れている関節をていねいに診ることがより大切になります。

当院での対応

当院では、血液検査だけでなく、関節エコー検査(超音波検査)を活用しています。関節エコーでは、関節の中の炎症(滑膜炎)による滑膜の腫れや関節液の増加を観察でき、炎症にともなう血流の増加(パワードプラ)もとらえることができます。 血液検査が陰性でも、エコーで関節内に炎症のサインが見つかれば、それが「隠れリウマチ」を見つける手がかりになります。ただし、エコーで炎症が見つかっても、それだけで関節リウマチと決まるわけではありません。ほかの関節の病気でも似た所見が出ることがあるため、症状の経過やレントゲン、血液検査とあわせて判断します。 関節リウマチが疑われる場合は、症状の経過や関節の所見、血液検査、レントゲン・エコーなどをあわせて診断します。メトトレキサートをはじめとする抗リウマチ薬による治療は、当院でも行っています。生物学的製剤の導入や、診断・治療の判断が難しい場合には、リウマチ専門医のいる医療機関と連携してすすめます。関節リウマチは、早期に発見して適切な治療を始めることが、関節を守るうえで大切です。「採血で異常がなかったから大丈夫」と安心しすぎず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

まとめ

リウマチの血液検査(CCP抗体・RF・CRP・血沈)がすべて正常でも、関節リウマチの可能性はゼロではありません。リウマチ患者さんのおよそ2〜3割は、これらの検査に反応が出ない「隠れリウマチ(血清反応陰性RA)」です。関節の腫れや朝のこわばりが続く場合は、診察とエコー検査で関節の炎症を確認し、必要に応じてリウマチ専門医へご紹介しますので、お気軽に当院にご相談ください。早期に見つけて治療を始めることが、関節を守るうえで大切なポイントです。

※この記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が気になる方は、必ず医師の診察を受けてください。

豪徳寺整形外科 〒154-0021 東京都世田谷区豪徳寺2-31-8 TEL: 03-5451-7878

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