「骨粗しょう症の薬SERMの副作用は?」整形外科医がわかりやすく解説|豪徳寺整形外科

「先生、骨粗しょう症の薬でSERMというのを飲んでいるんですが、副作用はどんなものがありますか?昔、乳がん(子宮体がん)をしたことがあるのですが、続けても大丈夫でしょうか」——診察室でいただくご質問です。今日は骨粗しょう症のお薬「SERM(サーム)」の副作用と、乳がん・子宮体がんとの関係について、わかりやすくお話しします。

結論:一番の注意点は「血栓」。がんの既往だけなら中止は不要です

SERM(ラロキシフェン、バゼドキシフェンなど)で最も気をつけたい副作用は、足の血管に血のかたまりができる「静脈血栓塞栓症」です。一方で、乳がんや子宮体がんの「既往がある」というだけでは、原則としてお薬を中止する必要はありません。ただし、いま乳がんの治療中でホルモンを止める薬を使っている場合は、SERMは併用しません。順番に説明します。

SERMってどんなお薬?

SERMは、体の場所によって働き方を「使い分ける」お薬です。骨に対しては女性ホルモン(エストロゲン)のように働いて骨を強くし、背骨の骨折を減らします。一方、乳腺や子宮の内膜に対しては、逆にホルモンをブロックする方向に働きます。この「使い分け」がSERMの特徴です。

どんな副作用があるの?

いちばん重要なのが、足の静脈に血のかたまりができる血栓症です。頻度は高くありませんが、まれに肺に飛んで危険なこともあるため、次のような対応をします。

  • 血栓の既往がある方には使いません
  • 手術や長期の安静など、長く動けなくなる予定があるときは、3日前からお薬をお休みし、しっかり歩けるようになるまで再開しません
  • ほかに、顔のほてり(ホットフラッシュ)、足のこむら返り、胸の張りなどが出ることがありますが、多くは軽く、数か月で落ち着きます

乳がん・子宮体がんがあるとやめた方がいい?

結論として、これらのがんの「既往」自体はSERMをやめる理由になりません。SERMは乳腺や子宮内膜に対してホルモンをブロックする方向に働くため、子宮体がんを増やすことはなく、むしろ乳がんを抑える働きも報告されています。この点は、子宮体がんのリスクを上げる別のお薬(タモキシフェン)とは異なります。ただし、現在がんを治療中の場合は、必ず乳腺科・婦人科の主治医と相談して決めます。

「女性ホルモンを止める薬」を使っている場合は?

乳がんの治療でアロマターゼ阻害薬やタモキシフェンといった「女性ホルモンを止める・抑えるお薬」を使っている方には、SERMは併用しません。作用が互いに打ち消し合い、がん治療の効果を弱めてしまう心配があるためです。この場合、骨粗しょう症の治療が必要なときは、SERMではなくビスホスホネートやデノスマブ(+カルシウム・ビタミンD)といった他の薬剤を検討します。これらはがん治療の効果を邪魔せず、骨を守ってくれます。

こんなときはすぐご相談を(受診の目安)

  • 片方の足だけがむくむ・痛む・熱をもつ(血栓のサイン)
  • 急に息が苦しくなる・胸が痛む・気を失う(すぐ救急へ)
  • 手術や入院で長く動けなくなる予定がある
  • 不正出血がある

当院での対応

当院では、骨粗しょう症のお薬を選ぶ際に、血栓のリスクや、乳がん・子宮体がんの既往、現在の治療内容を丁寧に確認したうえで、その方に合った治療をご提案します。乳がんの治療中の方には、婦人科・乳腺科と連携しながら、骨を守る最適な方法を一緒に考えます。お薬のことで不安な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

SERMで一番気をつけたいのは血栓症で、血栓の既往がある方には使いません。乳がん・子宮体がんの既往だけならお薬をやめる必要はありません。ただし、乳がんのホルモン治療中の方はSERMを併用せず、骨の治療は別のお薬を選びます。ご自身の状況に合わせて主治医と相談していきましょう。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。症状やお薬については主治医にご相談ください。

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