診察で「痛み」を先生に上手に伝える方法

診察で「痛み」を先生に上手に伝える方法


「どのくらい痛いですか?」と聞かれても、なんと答えればいいか迷ったことはありませんか?

「結構痛いです」「まあまあです」という言葉は、人によって意味がまったく異なります。患者さんにとっての「結構痛い」が、医師にとっては軽度に感じられることも。痛みは本人にしかわからない主観的なものだからこそ、できるだけ正確に伝えることが、よりよい治療につながります。


なぜ痛みを数値で伝えるのか

痛みを正確に伝えるために、医療現場では「疼痛評価スケール」が使われています。これは、痛みの強さを数字や図で表現するツールです。

数値化することで次のことが可能になります:
- 医師と患者が同じ基準で痛みを共有できる
- 前回の診察との比較ができる(治療効果の判定)
- 薬の量や治療方針の調整がしやすくなる


代表的な3つの疼痛評価スケール

1. NRS(数値評価スケール)

整形外科で最もよく使われるスケールです。

0 ——1——2——3——4——5——6——7——8——9——10
痛みなし                    想像できる最大の痛み

「今の痛みは0〜10のうちいくつですか?」と聞かれます。数字で答えるだけなので、高齢の方にも使いやすく、会話の中でも自然に使えます。

  • 0〜3:軽度(日常生活にほぼ支障なし)
  • 4〜6:中等度(動作に支障が出る)
  • 7〜10:強度(じっとしていても痛い)

2. VAS(視覚的アナログスケール)

10cmの直線の左端を「痛みなし(0)」、右端を「想像できる最大の痛み(100)」として、現在の痛みがどの位置にあるかを指さす方法です。

NRSと違い、連続的なスケールで微細な変化を表現できるため、研究や治療効果の詳細な追跡に用いられます。

3. フェイススケール(表情スケール)

6段階の表情イラストで痛みを表現します。言葉でうまく表現できない小さなお子さんや、認知症の方にも使いやすいのが特長です。


診察で伝えるべき7つのポイント

疼痛スケールで「強さ」を伝えるだけでなく、以下の7項目も一緒に伝えると、より正確な診断につながります。

項目 医師が知りたいこと 具体的な例
部位・範囲 どこが・どの範囲で痛いか 右膝の内側 / 腰から足先にかけて
時間経過 いつから・どのくらい続くか 3週間前から / 朝だけ30分ほど
性状 どんな痛みか ズキズキ・ジンジン・しびれる・重い
発症のきっかけ 何をしたときに始まったか 階段を降りたとき / 何もしていないのに
痛みの強さ NRSで何点か 安静時2点、歩行時6点
増悪・寛解因子 何をすると悪化・楽になるか 動かすと痛い・休むと楽 / 夜間に増す
随伴症状 他に気になることはあるか しびれもある / 力が入りにくい

「安静時」と「動作時」を分けて伝える

同じ膝の痛みでも、病態はまったく異なる場合があります。

  • じっとしていても痛い(安静時痛) → 炎症が強い・感染・腫瘍の可能性も
  • 歩くと痛い(動作時痛) → 変形性関節症・靱帯損傷など力学的原因が多い
  • 夜中に痛い(夜間痛) → 肩の腱板断裂・骨腫瘍などで特徴的

「安静時はNRS 2点、歩くとNRS 6点」のように分けて伝えると、医師の診断の精度が大幅に上がります。


「前回と比べてどうか」が治療の鍵

治療の効果を判断するには、変化の方向と大きさが重要です。

  • 「先週はNRS 7だったが今日は4に下がった」→ 治療が効いている
  • 「薬を飲んでも変化なし」→ 治療方針の変更を検討
  • 「最初は動作時だけだったのに、最近は安静時も痛い」→ 悪化サインの可能性

毎回の受診前に、「前回より良くなったか・悪化したか・変わらないか」を自分で確認してから診察室に入ると、短い診察時間でも的確な情報を伝えられます。


上手に伝えるためのヒント

正解はありません。「10点満点で表すのは難しい」という方も多いですが、だいたいの感覚で大丈夫です。「正確に言えないといけない」と気負わず、感じたままを伝えてください。

また、「痛みを訴えすぎると大げさに思われるかも」と遠慮される方もいますが、痛みの情報は診断と治療に直結します。遠慮せずに話してもらうことが、医師にとっても患者さんにとっても大切なことです。


痛みを上手に伝えることは、患者さん自身が治療に積極的に参加するための第一歩です。次回の受診時にぜひ試してみてください。


豪徳寺整形外科クリニック


 

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