整形外科で使われるステロイド注射製剤とは?種類・効果・使い分けを徹底解説
【導入】
「膝や肩が痛くて病院に行ったら、ステロイド注射を打たれた…」そんな経験をされた方も少なくありません。整形外科では、関節や腱の炎症を抑えるためにステロイド注射が使われることがありますが、「実際どんな薬なの?」「副作用は大丈夫なの?」と不安に感じる方もいるでしょう。本記事では、豪徳寺整形外科クリニックの院長が、整形外科で使われる代表的なステロイド注射製剤について、効果や違い、使い分けのポイントをわかりやすく解説します。
【ステロイド注射が使われる主な疾患】
ステロイド注射は、炎症により痛みや腫れが起きている場合に有効です。整形外科で代表的な適応疾患は以下の通りです。
- 変形性膝関節症
- 肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
- 石灰性腱板炎
- 腱鞘炎(ばね指、ドケルバン病など)
- リウマチによる関節炎
- 痛風発作
【主なステロイド注射製剤の種類と特徴】
整形外科領域で使用される代表的なステロイド注射剤は以下の4種類です。
- ケナコルト-A(トリアムシノロンアセトニド)
- 持続時間が長く、1回の注射で数週間から数か月効果が続くこともあります。
- 結晶性の懸濁剤で、関節内にとどまりやすい設計。
- やや即効性に乏しいが、痛みの強い慢性炎症に特に有効。
- リンデロン懸濁注(ベタメタゾン)
- 即効性に優れ、注射後すぐに痛みが軽減されることも多い。
- 効果の持続は2〜3週間程度とされる。
- ケナコルトと比較して皮膚萎縮の副作用が少ないという報告もあり。
- デポメドロール(メチルプレドニゾロン酢酸エステル)
- ケナコルトと同様に長期作用型。
- 肩や膝の関節内注射でよく使用される。
- デカドロン(デキサメタゾン)
- 非常に即効性が高く、急性の強い痛みに適している。
- 作用の持続時間は短く、数日程度。
【ステロイド注射の使い分けと投与量】
使用する部位や症状によって薬剤を使い分けます。たとえば、
- 症状の強い膝OAにはケナコルト10mgまたはデポメドロール10mgをキシロカインと混合して注射。
- 五十肩や石灰性腱板炎には、ケナコルト10mgやリンデロン1管(2.5mg)を関節腔内や滑液包内へ注射。
- 指の腱鞘炎にはケナコルト5-10mgやリンデロン0.5mL程度を局所麻酔と混注して腱鞘内注射。
【副作用と注意点】
- 関節軟骨へのダメージ:頻回投与は避け、年3〜4回までに制限する。
- ステロイドフレア:注射後に一時的に痛みが増すことがある。
- 感染リスク:無菌操作が必須。
- 皮膚萎縮:特に手指などでは慎重に使用。
- 血糖上昇:糖尿病患者は注射後の血糖コントロールに注意。
【当院での対応と注射の流れ】
豪徳寺整形外科クリニックでは、
- 症状と病態に応じて最適なステロイドを選択
- 局所麻酔薬との混合による痛みの軽減
- 必要最小限の回数と量で安全に施行
- 患者さんへの副作用リスクの丁寧な説明
を行っております。
また、注射後は患部の安静と冷却を促し、リハビリや生活指導も併せて行うことで、早期回復と再発予防を目指します。
【まとめ】
ステロイド注射は、適切に使用すれば炎症を抑え、痛みを和らげる非常に有効な治療法です。一方で、副作用のリスクもあるため、症状や状態に応じて医師と相談しながら使うことが大切です。
関節や腱の痛みでお困りの方は、お気軽に豪徳寺整形外科クリニックまでご相談ください。