世田谷区・豪徳寺整形外科|寒くなると膝が痛くなるのはなぜ?冷え・血流・変形性膝関節症との関係を整形外科医が解説
寒くなると膝が痛くなるのはなぜ?
「夏はそんなに痛くなかったのに、急に10月・11月くらいから膝が重い」「朝だけこわばる感じが増えた」「冷えると正座がきつい」──外来でもよく聞きます。
これは気のせいではなく、寒さによって関節や筋肉の環境が変わるからです。大きく分けると次の5つの要因が関係します。
- 寒さで血流が落ちる
 - 関節液(潤滑油)が行き渡らない
 - 筋肉・腱・靭帯がこわばる
 - 変形性膝関節症など“もともとある膝の問題”が表に出やすくなる
 - 気圧・気温の変化で痛みの感じ方が敏感になる
 
順番にいきます。
1. 寒さで血流が落ちる
人間の体は、寒くなると体温を逃がさないように血管をキュッと縮める性質があります。これを「血管収縮」といいます。
そうすると、膝まわりの筋肉や関節包(関節を包んでいる袋)に行く血流が少し悪くなるため、組織が硬く感じたり、老廃物がたまりやすくなったりして、「重い」「痛い」と感じやすくなります。
特に**変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減っている状態)**がある方は、もともと関節の環境が悪いので、ちょっとした血流低下でも症状が出やすいです。
2. 関節液が“サラサラ”じゃなくなるイメージ
膝の中には「関節液」という潤滑油のような液体があって、これがあるおかげで軟骨どうしがスムーズに動けます。
**気温が下がると、関節内の代謝も少し落ちるため、動き出しのときに“滑りが悪い感じ”**になることがあります。
患者さんがよく言う
「朝一歩目が重い」
「しばらく歩くと楽」
というのは、動かすことで関節液が行き渡るからです。
なので寒い日は、いきなり全力で動くのではなく、最初に軽く膝を曲げ伸ばしして“温めてから”動くと痛みが出にくくなります。
3. 筋肉・腱・靭帯がこわばる
寒いと肩も痛みます。膝まわりも同じで、大腿四頭筋(太ももの前)やハムストリングス(太ももの後ろ)、膝蓋腱、内側の靭帯などが固くなりやすいです。
特に膝は筋肉と関節のバランスで支えている関節なので、筋肉が硬くなると負担が一気に関節面にかかります。
- 太ももが硬い → 膝のお皿が動きにくくなる → 階段で痛い
 - ふくらはぎが硬い → 膝の曲げ伸ばしがぎこちない → 立ち上がりで痛い
 
という流れです。
4. もともとの膝の病気が“表に出やすい”
寒さそのものが病気を作るわけではありませんが、もともと以下のような膝の状態があると、寒い時期に症状が出やすいです。
- 変形性膝関節症(膝OA)
 - 半月板損傷の既往
 - 膝蓋大腿関節障害(お皿の裏が擦れて痛いタイプ)
 - O脚で内側に負担がかかりやすい人
 - 偏平足や外反母趾があって膝に荷重が乗りやすい人
 
こういう方は、ちょっと冷えた+たまたま階段が多かった+少し体重が増えたなどが重なると、一時的に痛みが強くなります。
世田谷区のように**坂が多い・自転車が多い・買い物で歩くことが多い地域(豪徳寺・経堂・梅ヶ丘・山下・宮坂・上町)**だと、なおさら冬場に症状を感じやすいです。
5. 気温・気圧の変化で痛みを感じやすくなる
秋~冬にかけては1日の中でも気温差が大きく、天気も変わりやすいです。
最近の研究でも、気圧や気温の変化が関節リウマチや変形性膝関節症の痛みの自覚症状に影響することは報告されています(「気象病」と呼ばれることもあります)。
メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、
- 末梢の血流や浮腫が変化する
 - 痛みの神経が過敏になる
 - 自律神経のバランスが崩れる
 
といった経路で痛みを感じやすくなると考えられています。
つまり「寒い日に痛い」は、気のせいではなく、体がそう感じやすい状況になっているということです。
今日からできる対策
外来でもお伝えしている内容をそのまま書きます。
① 冷やさない(温める場所を決める)
- 膝そのものをカイロで直接温めるより、太ももの前・後ろ、膝裏をじんわり温めるほうが効果的です
 - 入浴でしっかり温める(シャワーだけにしない)
 - 夜だけ痛む人は、寝る前に5分だけ膝の曲げ伸ばし→ホットタオルがいいです
 
② 動き出しの“準備運動”をつける
- 朝起きてすぐ寝ながらその場で膝の曲げ伸ばしを10回
 - 太もも前のストレッチ・ふくらはぎのストレッチを軽くでOK
 - いきなり階段から始めない
 
③ 体重をちょっと戻す
冬はどうしても体重が増えます。膝は体重1kg増えると関節内には3〜4kg分の圧がかかるといわれています。
「1kg増えたけどまあいいか」が、寒い日の膝には効いてしまいます。
④ サポーター・膝当てを上手に使う
- 冷え対策としても、軽いサポーターや保温タイプのサポーターは有効です
 - ずっとつけっぱなしではなく、**“寒い外出時だけ” “階段が多い日だけ”**と使い分けると楽です
 
⑤ 痛みが続くなら早めに診察を
- 夜中に目が覚めるほど痛い
 - まともに曲がらない・腫れている
 - 階段がどんどんつらくなっている
こういう場合は単なる冷えではなく、関節内の炎症や半月板のトラブルが隠れていることがあります。
注射・リハビリ・足底板など、整形外科でできることはたくさんあります。 
豪徳寺・経堂・梅ヶ丘・山下・宮坂・上町 世田谷エリアの方へ
世田谷区は坂道も多く、自転車・ベビーカー・買い物などで膝に負担がかかる生活動線になりやすい地域です。
「冬だけ膝が痛いから様子見でいいかな」と放っておくと、春になっても痛みが残る → 結果的に変形性膝関節症を早めることがあります。
とくに
- 50代以降でO脚がある
 - 体重がここ1年で増えた
 - スポーツの再開を考えている
 - 正座・床座りが多い和室の生活
 
こういう方は、一度レントゲンで膝の状態を見ておくと安心です。
当院のご案内
- 医療法人 豪徳寺整形外科クリニック(世田谷区豪徳寺3-1-52)
 - 小田急線「豪徳寺駅」徒歩5分/東急世田谷線「山下駅」徒歩5分
 - 経堂・梅ヶ丘・宮の坂・松原・代田方面からも通院いただいています
 - 診療時間:平日9:00-12:00 / 14:30-18:00、土曜午前のみ
 - WEB予約24時間受付
 
「寒くなってきてから膝がつらい」「注射かリハビリか迷ってる」「冬場だけ痛むのは放っておいていいのか」など、まずは受診時にお気軽にご相談ください。
症状・生活・スポーツの状況に合わせて、温め・運動・薬・注射・リハビリを組み合わせてご提案します。
まとめ
- 寒さで血流が落ちると膝が痛くなりやすい
 - 関節の“油”が行き渡りにくくなるので、動き出しが痛い
 - 筋肉が硬くなると膝の関節に負担がかかる
 - もともとの変形性膝関節症がある人は特に冬に悪化しやすい
 - 温める・準備運動・サポーターでかなり軽くできる
 - 続く痛み・腫れは整形外科でチェックしたほうが早い
 


