豪徳寺で25年の歴史を有する「田渕整形外科」。
地元密着で長く愛されてきたクリニックだが、先代の田渕院長の引退に伴い、2022年に「豪徳寺整形外科クリニック」として再スタートした。

新しくなったクリニックを引き継いだのは、若くして院長に就任した大野孝義だ。
今回は、就任の経緯やクリニックの強み、今後にかける想いなどを大野院長自身に語ってもらった。

聞き手: 事務 泉
(取材日:2024年3月4日)

目次

Q. まずは簡単に大野院長のプロフィールを教えてください。

大野孝義です、よろしくお願いします。親の仕事の関係で幼少期はオランダとドイツで過ごしました。学生時代は様々なスポーツをしました。小中ではサッカー、高校はバスケットボール、大学・社会人ではラグビー部に所属しました。大学時代には15人制ラグビーの県代表と7人制ラグビーで日本選抜の機会を頂きました。スポーツを通じてたくさんの素晴らしい出会いがあり、いまの仕事につながっています。スポーツは今も続けていて、大学時代にお世話になった社会人ラグビーチーム「神奈川タマリバクラブ」の練習に時々参加させていただいています。

信州大学医学部を卒業し、武蔵野赤十字病院で研修医として初期研修を修了した後は、整形外科医を志し、東京大学の整形外科医局に入局しました。田渕整形外科に勤める前までは東京大学の医局員として武蔵野赤十字病院、多摩総合医療センターといった3次救急の外傷病院で勤務し、スポーツ診療の人事で東京逓信病院で勤務しました。

現在は豪徳寺整形外科クリニックで院長として外来診療をしています。院外の仕事としてはラグビーのリーチマイケル選手が所属する東芝ブレイブルーパス東京や、大学選手権優勝の実績のある関東学院大学ラグビー部でチームドクターをしています。そのほか産業医や日本柔道整復専門学校の講師として整形外科学の授業を担当しています。

Q. 大野院長が整形外科を志したきっかけは?

学生時代から慣れ親しんだスポーツですが、現役時代はケガに苦しみ何度も整形外科に行きました。私が整形外科医を志したのは、こうした自身の経験が活かせると考えたからです。

患者さん一人ひとり筋量や骨格が異なり、仕事や生活習慣、社会背景、もとめるものが異なります。同じ疾患の方でも、その方の背景によって適した治療法が異なるのが整形外科の難しさであり、面白い点でもあります。伝統と先進を重んじて、正確な診断と適切な治療が基本です。エコー(超音波検査)を積極的に用いて診断の一助にしたり、ハイドロリリース治療も必要に応じておこなっています。体外衝撃波治療、再生医療(PRP)など新しい治療も積極的にとりいれています。

整形外科疾患は、治療だけでなく予防が大切です。スポーツ障害はもちろん、ロコモ、フレイル、骨粗しょう症などそういった病気にかからないように予防にも力をいれて診療をしています。

Q. 大野院長が田渕整形を引き継がれたのはどんな経緯だったのですか?

私は田渕前院長の東大整形外科医局の後輩に当たります。田渕先生がご体調を崩され、後継を探されていたことを医局の先輩からお話をいただきました。

田渕先生は東京ヴェルディのチームドクターを務め、スポーツ診療に力を注がれていました。私は東芝ラグビー部や関東学院大学ラグビーのチームドクターを務めさせていただいており、一般診療だけでなくスポーツ診療にも力を注ぎたいと考えています。また、世田谷は私が高校時代に過ごした思い出深い土地であり、大きな縁を感じています。そのため、田渕整形外科クリニックを継承させていただきました。

先代の事務長や勤務されている立花先生のご指導のもとで、患者様の診療を引き継ぎさせていただきました。また、田渕先生と長年にわたり共に歩んできたスタッフの協力のおかげで、1日も休診することなく新体制でのスタートを切ることができました。

Q. 新しくなった「豪徳寺整形外科クリニック」の特長を教えてください。

当院には0歳児から100歳までの患者さんがお越しになります。骨折、怪我に関しては私自身が3次救急のあるハイボリュームセンターで勤務していた経験が大きな強みとなっています。また怪我の多い港町の病院で勤務していたこともあるので、怪我に対するレパートリーはかなり広いと自負しております。短期間ではありますが外傷の研修のためにスイスに留学しました。当院では骨折の整復のエキスパートである柔道整復師の先生と密に連携をとってベストな整復、そして固定をおこなっております。保存治療では治せない骨折に関しては、東大整形外科関連の医局のその骨折治療の得意な先生に直接ご紹介させていただいています。

近年の整形外科医療では従来のようにレントゲンだけでなく、筋や腱、靱帯などの様子をリアルタイムに診れるエコー(超音波)検査が必要不可欠な技術となっており、当クリニックでもエコーを駆使して様々な症例に対して適切な診断に繋げています。

また、上記のような一般診療だけでなく、スポーツ特有の症例やリハビリテーションに強いということも挙げられます。一流アスリートに求められる最先端の医療を日常診療にいかせるようにしています。体外衝撃波や再生医療(PRP)なども必要があればお話しさせていただいております。

一般整形とスポーツ整形の違いや共通点についてはこちら

併設するリハビリ室には国家資格の柔道整復師が4名在籍し、体外衝撃波やオステオトロン(超音波骨折治療器)などの最新機器を準備しています(当クリニックの設備一覧)。

狭く深いスポーツ整形を通じて得た先進的な医療は地域医療にも活かされるし、逆に地域医療で幅広い患者様を診ることで培った経験はスポーツ整形における対応幅となって両輪で好循環につながっていると思います。

また、設備面などの制約からどうしても当院では対応しきれない患者様に対しても、かかりつけ医として責任をもってご紹介したいと考えています。東京大学整形外科のネットワークを活かし、その症例を得意とする信頼できる医師をピンポイントに紹介しています。

Q. 今後の抱負やビジョンをお聞かせください。

地域医療の充実に力を尽くし、地域の安心と発展に貢献する」のが当院開業時からの理念です。田渕整形外科が25年にわたって積み上げてきた信頼や伝統を守りつつ、常に最新の医療知識のアップデートにも努め、これからも安心、安全で良質な医療を提供し続けたいと考えています。

また、医療の質を高めることはもちろん、待合室の混雑解消や気持ちの良い受付対応など、まだまだ課題も多いですが患者さん満足度を高める工夫をしていきます。正確な医療情報の発信は大事なことだと思いますので、HPやSNS等での発信活動にも力を入れていきます。

地域にこんなクリニックがあってよかったな、来てみてよかったな、と感じてもらえる病院づくりに取り組んでいきますので、何卒よろしくお願いいたします。私個人としても高校時代お世話になった世田谷に、そしてスポーツに恩返しできるように精進していきます。

おわりに

今回は新たな豪徳寺整形外科クリニックにかける想いを大野院長自身に語ってもらった。「歴史あるクリニックを引き継ぐことは、地域の暮らしを守る責任も引き継ぐこと」と大野院長は語る。大野院長の今後の取り組みに期待したい。

スタッフ一同、大野院長を支え、今後とも地域に愛されるクリニックを目指して研鑽を続けて参ります。どうぞ変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。