五十肩(肩関節周囲炎)の症状・原因・治療法|放置するとどうなる?
五十肩(肩関節周囲炎)の症状・原因・治療法|放置するとどうなる?
「腕が上がらない」「夜、肩が痛くて目が覚める」――このような症状に心当たりがある方は、五十肩(肩関節周囲炎)かもしれません。40代〜60代に多く発症し、日常生活に大きな支障をきたすこの疾患について、原因、症状の経過、そして治療法を整形外科医の視点から詳しく解説します。
五十肩とは
五十肩は正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節を構成する関節包や腱板、滑液包などに炎症が生じることで、肩の痛みと可動域制限(動かしにくさ)が起こる疾患です。「四十肩」とも呼ばれますが、医学的には同じ病態を指します。
特徴的なのは、多くの場合自然経過で改善するという点です。ただし、適切な治療を行わないと回復までに1〜2年以上かかることがあり、関節が硬くなったまま後遺症が残るケースもあります。
五十肩の3つのステージ
五十肩は典型的に3つの段階を経て進行します。それぞれの段階で症状と適切な対処法が異なります。
第1期:炎症期(急性期)|発症〜約3ヶ月
最も痛みが強い時期です。肩を動かしたときの痛みだけでなく、安静時の痛みや夜間痛が特徴的です。夜中に肩の痛みで目が覚める「夜間痛」は、五十肩を強く疑わせる症状です。
- 肩を動かすと激しい痛みがある
- じっとしていても痛む(安静時痛)
- 夜間に痛みが悪化して眠れない(夜間痛)
- 痛む側の腕を下にして寝られない
第2期:拘縮期(凍結期)|約3ヶ月〜12ヶ月
炎症が徐々に落ち着き、安静時痛や夜間痛は軽減しますが、代わりに肩関節の可動域制限(拘縮)が顕著になります。いわゆる「凍結肩(フローズンショルダー)」の状態です。
- 腕が上がらない、後ろに回せない
- 髪を洗う、服を着る、背中に手を回すなどの動作が困難
- 動かした端で痛みが出る(可動域の端の痛み)
- 安静時痛は軽減している
第3期:回復期|約12ヶ月〜24ヶ月
痛みがさらに軽減し、徐々に可動域が戻っていく時期です。ただし、適切なリハビリを行わないと完全に元に戻らないことがあります。
五十肩の原因
五十肩の明確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与すると考えられています。
- 加齢による変化:40代以降、肩関節周囲の組織(腱板、関節包、滑液包)が変性しやすくなる
- 血行不良:肩関節周囲の血流低下が炎症を誘発する
- 糖尿病:糖尿病患者は五十肩の発症率が2〜4倍高いとされる
- 甲状腺疾患:甲状腺機能低下症も発症リスクを高める
- 肩の不動(動かさない期間):骨折後のギプス固定や手術後など、肩を動かさない期間が長いと発症しやすい
五十肩と腱板断裂の違い
五十肩と似た症状を呈する疾患に「腱板断裂」があります。両者は治療法が異なるため、正確な鑑別が重要です。
| 項目 | 五十肩(肩関節周囲炎) | 腱板断裂 |
|---|---|---|
| 可動域 | 自分で動かしても他人に動かしてもらっても制限あり | 自分では上がらないが、他人に動かしてもらうと上がる |
| 夜間痛 | 炎症期に強い | 断裂が大きい場合に出現 |
| 筋力低下 | 通常なし(痛みによる制限のみ) | 腕を上げる力が弱くなる |
| 自然経過 | 時間はかかるが改善傾向 | 断裂は自然には修復されない |
| 好発年齢 | 40〜60代 | 50代以降(高齢者にも多い) |
整形外科ではエコー(超音波検査)やMRIにより、五十肩と腱板断裂を正確に鑑別することができます。
五十肩の治療法
薬物療法
痛みと炎症を抑えるために、以下の薬が使用されます。
- NSAIDs(ロキソニン、セレコックスなど):炎症期の痛み緩和に効果的
- アセトアミノフェン(カロナール):胃への負担が少なく、長期使用に適している
- 外用薬(湿布・塗り薬):湿布の正しい使い方もご参照ください
注射療法
- ヒアルロン酸注射:肩関節内に注射し、関節の潤滑性を改善。
- ステロイド注射:強い炎症を速やかに抑えます。特に炎症期の夜間痛が強い場合に有効です。詳しくはステロイド注射の種類と効果をご参照ください
リハビリテーション(運動療法)
五十肩治療で最も重要なのがリハビリテーションです。ただし、ステージに応じた適切な運動を行うことが大切です。
- 炎症期:痛みを悪化させない範囲での軽い運動。コッドマン体操(振り子運動)が安全で効果的
- 拘縮期:関節可動域を広げるためのストレッチ。壁を使った指這い運動、タオルストレッチなど
- 回復期:積極的な可動域訓練と筋力強化。
放置するとどうなる?
五十肩は「放っておいても治る」と言われることがありますが、これは半分正しく半分誤りです。確かに多くのケースで最終的に痛みは軽減しますが、以下のリスクがあります。
- 回復に1〜2年以上かかる:適切な治療を行えば数ヶ月で改善するケースも、放置すると回復が大幅に遅れる
- 可動域が完全に戻らない:拘縮が固定化し、腕が完全に上がらないまま後遺症として残ることがある
- 反対側にも発症:片方の肩をかばうことで、反対側の肩にも負担がかかり発症するリスクがある
日常生活での工夫
- 寝る姿勢:痛い側を上にして横向きに寝る。抱き枕やクッションで腕を支えると楽
- 服の着脱:痛い側の腕から先に袖を通す。前開きの服が着やすい
- 入浴:温かいお風呂で肩を温めながら、ゆっくり動かすとストレッチ効果がある
まとめ
五十肩(肩関節周囲炎)は、適切な治療とリハビリを行えば確実に改善する疾患です。「痛みが強くて動かせない」「夜間痛で眠れない」という方は、我慢せずに整形外科を受診してください。炎症期・拘縮期・回復期それぞれに合った治療を行うことで、回復までの期間を大幅に短縮し、後遺症を防ぐことができます。
豪徳寺整形外科クリニックの受診をご希望の方へ
- 所在地:東京都世田谷区豪徳寺2-31-8
- アクセス:小田急線「豪徳寺駅」徒歩5分/東急世田谷線「山下駅」徒歩5分
- 診療時間:平日 9:00-12:00 / 14:30-18:00、土曜 午前のみ
- 電話:03-5451-7878
※当院の予約は時間帯予約制(30分幅)です。予約なしでも受診可能ですが、混雑状況によりお待ちいただく場合があります。


