二分膝蓋骨の治療について|世田谷区・豪徳寺整形外科クリニック


導入 ― その“お皿の骨の痛み”、放っておいていませんか?

ジャンプの着地やダッシュのあと、膝のお皿(膝蓋骨)のあたりがズキッと痛む――そんな経験はありませんか?
成長期のスポーツ選手やデスクワーク中心の社会人でも、原因がわからないまま痛みを抱えて受診されることが少なくありません。その一因として「二分膝蓋骨(にぶんしつがいこつ)」が隠れている場合があります。

この記事では、二分膝蓋骨の原因・症状・検査・治療法を解説します。読み終えたころには、自分やご家族の膝痛の“正体”が見えてくるはずです。


症状の背景・原因

二分膝蓋骨は、胎児期~成長期に複数の骨化核が癒合しきらず、膝蓋骨が分離したまま残った状態です。実は**約0.1〜1.7%**の人にみられるといわれ、生涯無症状のケースも珍しくありません。

  • スポーツや膝を酷使する動作が続く
    分離部が繰り返しこすれ、炎症や骨膜の刺激を招くことで痛みが出やすくなります。
  • 成長期の骨の柔らかさ
    中高生は骨端線が閉じ切っておらず、分離部がストレスに弱い時期です。
  • 外傷(打撲・転倒)
    直接の衝撃が引き金となり、今まで無症状だった二分膝蓋骨が痛みを発するケースがあります。

考えられる疾患との違い

膝蓋骨周囲の痛みでは、次の疾患とも鑑別が必要です。

  1. 膝蓋骨骨折
    外傷後すぐに強い痛みと腫れが起こり、レントゲンで明らかな骨折線が確認できます。
  2. 膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)
    膝蓋骨下端~脛骨粗面にかけて圧痛があり、膝蓋靭帯の炎症が主原因です。
  3. オスグッド病
    成長期の脛骨粗面の骨端症で、膝蓋骨ではなく脛骨側の痛みが主体です。
  4. 離断性骨軟骨炎
    大腿骨顆部の軟骨下骨が分離する疾患で、MRIで軟骨面の損傷がわかります。

診断・検査内容

二分膝蓋骨はX線(単純レントゲン)でほぼ診断可能です。典型的には上外側に三角形や線状の分離像が映ります。より詳しい評価が必要な場合や手術を検討するときには、CTやMRIを追加し、分離部の形状や炎症所見を把握します。


治療内容

症状の強さと生活スタイルに合わせて、保存療法と手術療法を選択します。

  • 保存療法(約4~12週間)
    • 安静・アイシング・鎮痛薬の内服/外用
      → 痛みと炎症を抑えつつ、自然経過を観察します。
    • 大腿四頭筋ストレッチ、股関節・体幹トレーニング
      → 分離部のストレスを減らし、再発リスクを下げます。
  • 手術療法
    保存療法で改善しない場合や分離片が大きく転位している場合に検討します。
    • 分離片切除術:小さな分離片を骨膜ごと摘出
    • 内固定術:大きい分離片をスクリューで固定し、癒合を促進

術後は膝蓋骨周囲の癒合を確認しつつ、リハビリで可動域と筋力を回復させます。


当院での対応

  1. 画像診断
    X線装置とエコー、必要に応じたMRIで、原因を特定します。
  2. スポーツ復帰を見据えた保存プラン
    リハビリスタッフと連携し、期間・競技レベルに合わせたリハビリメニューを提案します。
  3. 再発予防サポート
    消炎鎮痛処置、自宅でできるセルフケアを行います。

まとめ・受診案内

二分膝蓋骨は生まれつきの骨形態ですが、痛みが出たときには適切な治療で十分に競技復帰が可能です。「成長期だから仕方ない」「湿布でがまん」と自己判断せず、気になる膝痛は早めにご相談ください。


要約(重要ポイント)

  • 二分膝蓋骨は膝蓋骨が完全に癒合しない先天的変化で、成長期やスポーツで痛みが出やすい。
  • X線、エコーで診断がつき、必要に応じてMRIで詳細を確認する。
  • 保存療法が原則だが、痛みが続く場合は分離片切除や内固定術を検討。
  • リハビリで大腿四頭筋・股関節機能を整えることが再発防止の鍵。
  • 豪徳寺整形外科クリニックでは画像診断から治療まで一貫対応。
  • 膝のお皿周辺の痛みを感じたら、早めの受診がスポーツ復帰への近道。