環軸椎回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation: AARF)について医学的にわかりやすく解説します。

【概要】
**環軸椎回旋位固定(AARF)**とは、首の骨の上部(第1頸椎:環椎と第2頸椎:軸椎)の関節が異常にねじれたまま元に戻らなくなる状態です。多くは小児に起こり、首が横に傾いて戻らない(斜頸)という症状で発見されます。
【原因】
主な原因は以下のとおりです:
- 感染後(上気道感染、扁桃炎など)
 - 外傷(軽い頭部・首の打撲など)
 - 手術後(耳鼻科手術、口蓋扁桃摘出など)
 - 自然発生(特に小児に多い)
 
これらにより、環軸関節が不安定になって回旋した状態で固定されてしまうと考えられています。
【症状】
- 首が傾いて、まっすぐにできない
 - 首を動かすと痛み
 - 傾いたままの首(斜頸)
 - 顔が左右どちらかを向いたまま戻らない(トータルでは「コック・ロビン症候群」と呼ばれることも)
 
【診断】
- X線(正面・側面・開口位)
 - CTスキャン:骨の回旋や位置関係を正確に評価
 - Fielding分類で重症度を評価(Ⅰ〜Ⅳ)
 
【治療】
軽度(Fielding I, IIなど):
- 安静と頸椎カラー装着(ソフトカラーやハードカラー)
 - 牽引療法(頸椎牽引)
 - 鎮痛薬、筋弛緩薬
 
改善しない場合や重度(Fielding III以上):
- 徒手整復(麻酔下での整復)
 - 手術(後方固定術):整復不能例や再発例に行われることもある
 
【予後】
- 多くの小児では保存的治療で改善します。
 - 早期発見・早期治療が大切で、固定期間が長くなると整復が困難になります。
 - 再発することもあり、その場合は手術を検討することもあります。
 
【まとめ】
環軸椎回旋位固定は、小児に多い首の異常固定状態で、適切な診断と早期の保存的治療により多くは治癒します。首の傾きや痛みが続く場合は早めの受診が大切です。


