子宮頸がんとは

子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。 子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。

国内では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかっており、うち約3,000人が死亡しています。一生のうちにおよそ76人に1人が子宮頸がんと診断される計算であり(2019年データに基づく累積罹患リスク)、しかも2000年以後、患者数も死亡率も増加傾向にあります。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計、全国がん登録)

子宮頸がんは、ワクチンで予防できるがんです

子宮頸がんの原因

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。ちなみに、このウイルスは子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わっています。

HPVは性的接触により子宮頸部に感染します。HPVは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染機会があるといわれています。

HPVに感染しても、90%の人は免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人はHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行していきます。

HPVワクチンの詳細

HPVの中には子宮頸がんをおこしやすい種類(型)のものがあり、HPVワクチンは、このうち一部の感染を防ぐことができます。

現在日本で使用されているHPVワクチンには3種類(2価・4価・9価)がありますが、当クリニックではそのうち最も新しく開発され、予防効果も高いといわれる9価ワクチン(シルガード9)を採用しています。

※図表出典:厚生労働省

【9価ワクチン(シルガード9)】
  • 開発年:2014年
  • 効果:主要な子宮頸がん原因ウイルスである16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の5種類の高リスク型に対して、90%以上の効果があるとされています。
  • 接種回数:初回接種年齢により接種スケジュールに違いがあります。
    •  15歳になるまでに1回目を接種した場合:全2回(初回接種から6ヶ月後に2回目の接種)
    •  15歳になってから1回目を接種した場合:全3回(初回接種から2ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目の接種)

9価ワクチンは、主要な高リスクのHPV型に加えて、より多くのHPV型に効果があるとされています。また、性交渉をすると必ず感染するわけではないので、初交後のHPVワクチン接種も十分に効果があります。(ただし、HPVワクチンは感染を予防するワクチンのため、既に感染したウイルスを排除する効果はありません。)

HPVワクチンの安全性

HPVワクチンは特別に副反応(ワクチンの副作用)が起こりやすいわけではないことが、数多くの研究で確かめられています。日本でも、名古屋市で大規模な調査がおこなわれた結果、十分な安全性が確かめられていることが2018年に報告されています。とはいえ、副反応のリスクがまったく無いわけではないため、特に接種の前後は医師の指示に従って過ごすことが重要です。

接種を受けることができない場合について

次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種が受けられません。

  1. 明らかに発熱(通常37.5℃以上)がある
  2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかである
  3. 接種しようとする予防接種の接種液の成分により、アナフィラキシーを起こしたことがある
  4. 妊娠もしくは妊娠している可能性がある
  5. その他、医師が不適当な状態と判断した場合

その他、気になる点やご不明点などがありましたらお気軽に医師や当クリニック受付にご相談ください。

費用と予約方法

費用

◎世田谷区公費による「定期接種」:無料

接種対象者:小学校6年生〜高校1年生相当(平成20年4月2日から平成25年4月1日生まれ)の女性

◎世田谷区公費による「キャッチアップ接種制度」(2025年3月末まで):無料

接種対象者:平成9年4月2日から平成19年4月1日生まれの女性
      過去にHPVワクチンの接種を3回受けていない
接種が受けられる期間:令和4年4月〜令和7年3月

※定期接種の対象年齢の間に接種できなかった方に改めて接種の機会を提供する制度です。

対象者や接種方法、時期などの詳細はこちらの記事にまとめておりますのでご参照ください。

◎上記対象外の方:自費

1回あたり33,000円(税込み)

接種回数:初回接種年齢により接種スケジュールに違いがあります。

  • 15歳になるまでに1回目を接種した場合:全2回(初回接種から6ヶ月後に2回目の接種)
  • 15歳になってから1回目を接種した場合:全3回(初回接種から2ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目の接種)

予約方法

当クリニックへのお電話(03-5451-7878)あるいは受付でのご予約をお願いいたします。
(当日でも在庫があれば接種可能です。)

その他、気になる点やご不明点などがありましたらお気軽に医師や当クリニック受付にご相談ください。

関連リンク

はじめてのHPVワクチン(ゼロからわかるポータルサイト)
 ―HPVワクチンと子宮頸がんについて「はじめてでもわかる」東京都のポータルサイトです。