スポーツによる膝のケガ:予防と早期発見のポイント
スポーツによる膝のけがはよく見られますが、特に関節の安定性や強さに関連する問題が多いです。
<膝の怪我の大まかな種類>
一般的な膝のけがには以下のようなものがあります。
- 靭帯損傷(ACL損傷など): 前十字靭帯(ACL)の損傷は、スポーツでよく見られるけがです。急な方向転換やジャンプの着地時に痛めることが多いです。
- 半月板損傷: 膝関節内のクッションとして機能する半月板が損傷すると、痛みや腫れが生じます。特に旋回や急な動きで負傷することがあります。
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝): ジャンプや急な動きが多いスポーツでよく見られる問題です。膝蓋腱(お皿の下あたり)が炎症を起こし、痛みや腫れを伴います。
- 膝関節の捻挫: スポーツ中の転倒やぶつかり合いで、膝関節が捻挫することがあります。
- 膝の靭帯炎(腸脛靭帯炎:ランナー膝など): 長時間の使用や過剰な負荷が原因で、靭帯に炎症が生じることがあります。また膝の使い方や体重のかけ方でも痛みが出る場合があります。
これらは①接触型(ぶつかっての怪我)②非接触型(ステップなどでの怪我)の2種類に分けられます。②は特に筋力低下やフォーム不良が原因になることが多いので予防が大事になってきます。特に女性は以下の理由で男性よりも多い傾向にあります。
<膝の怪我が女性に多い理由>
- 生理的な構造差:
- 女性の骨盤は男性よりも広い傾向があり、これが膝のアライメント(整列)に影響を及ぼします。この広い骨盤が膝の負担を増すことがあります。
- ホルモンの影響:
- 女性ホルモン(エストロゲン)が関節の靭帯や筋肉の柔軟性に影響を与えることがあり、これが膝の不安定性や怪我のリスクを増すことがあります。
- 筋力の差:
- 女性は一般的に下半身の筋力が男性よりも低い場合が多いです。特に大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が弱いと、膝の安定性が低下し、怪我のリスクが高まります。
- 靭帯の強さと柔軟性:
- 女性の靭帯は男性よりも柔軟であることがあり、これが膝関節に対する負担を増すことがあります。柔軟すぎる靭帯は、膝の安定性を欠く原因になることがあります。
- スポーツや運動の違い:
- 一部のスポーツや運動(例えばバスケットボールやサッカーなど)は、膝に高い負担をかけることがあり、これが怪我のリスクを増します。女性アスリートがこのようなスポーツを行うことが多いため、膝の怪我が多くなることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、女性は膝の怪我のリスクが高くなることがあります。膝を守るためには、筋力トレーニングや適切なストレッチ、フォームの見直しが有効です。
<けがを防ぐためには>
- ウォーミングアップ: 運動前に十分なストレッチやウォーミングアップを行うことで、筋肉や靭帯を適切に準備します。
競技の動作につながるウォーミングアップや、ストレッチも静止している状態時ではなくダイナミックストレッチ(動かしながらのストレッチ)などを行うと、より本動作に入りやすくなり、けが防止につながります。
- 適切な技術とフォーム: スポーツの技術やフォームを正しく保つことで、けがのリスクを減らします。また苦手な動きの改善も重要です。
- 適切な用具の使用: サポーターや適切なシューズなど、スポーツに合った用具を使用することも重要です。
- 強化トレーニング: 膝周りの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングスなど)や臀部の筋肉・体幹筋などを強化することで、膝関節の安定性を高めることができます。筋トレには色々な種類があります。
例)大腿四頭筋:レッグエクステンション
①座って膝の間に丸めたタオルを挟む
②つま先・膝の向き真っ直ぐで片足ずつ膝を伸ばす
③5秒キープしておろす
例)中殿筋:ヒップアブダクション(足ぱか)
①横向きに寝る(少しうつ伏せ気味)
②上の足を斜め後ろに上げて5秒キープ
※足を前目にあげたり、体が開いてしまう(仰向け気味)になってしまうとお尻の筋トレにならなくなってしまうので注意が必要です。
- 休息と回復: 過度な練習やプレイを避け、体を十分に休めることが大切です。
まとめ
膝のけがには沢山の種類があり、そのまま放置すると怪我が悪化してしまったりすることがあります。
違和感・痛みを感じた場合は、早期に適切な治療を受けることが重要です。