膝前十字靭帯(ACL)損傷 保存療法を選んだ場合の復帰目安とリスク
■ 保存療法とは?
保存療法とは、手術をせずにリハビリ(理学療法)を中心とした治療で膝の機能を回復させる方法です。主に次のようなケースで検討されます。
• 日常生活や軽いスポーツレベルの活動が目標である
• 成長期で骨端線(成長板)がまだ閉じていない(手術のリスクを避けたい)
• 患者本人と家族が手術を強く希望しない
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■ 復帰までの目安
1. リハビリ初期(0〜3ヶ月)
• 炎症・腫れのコントロール
• 可動域(ROM)改善、筋力強化(特に大腿四頭筋とハムストリング)
• 膝の安定性を高めるトレーニング
2. 中期(3〜6ヶ月)
• 体幹・股関節・足部の連動トレーニング
• ジョギングや簡単なアジリティの開始
• サポーター使用で日常活動に戻るケースも
3. 後期(6〜9ヶ月以降)
• スポーツ特有の動作(ジャンプ、方向転換など)を徐々に再開
• 膝の安定性が保たれていることが前提
• 競技復帰は約6〜9ヶ月以上を目安(競技内容や本人の筋力回復次第)
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■ リスクと注意点
• 再損傷・再発のリスク
→ 膝の安定性が十分でないまま競技に復帰すると、再びACLを損傷したり、半月板や軟骨を痛める可能性があります。
• 競技の種類による制限
→ サッカー、バスケ、ラグビーなど方向転換・ストップ動作が多い競技では、保存療法では不安定さが出やすく、復帰が難しいこともあります。
• 筋力と感覚の回復に時間がかかる
→ 大腿四頭筋・ハムストリングの筋力バランスや、プロプリオセプション(関節位置感覚)の回復が不十分だと、復帰後のパフォーマンス低下や再受傷リスクがあります。
• 将来的な変形性膝関節症のリスク
→ 長期的に見ると、靱帯が切れたままで膝のぐらつきが続くと、軟骨損傷が進行しやすくなります。
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■ 最後に
保存療法は「完全にスポーツ復帰できない」というわけではありませんが、競技レベルや膝の安定性次第では手術が必要になる可能性もあることを念頭に、リハビリを継続し、定期的に整形外科で膝の評価を受けながら判断していくことが大切です。