首の痛み

首の痛みを引き起こす疾患と、その検査および治療法を説明します。整形外科外来で多くみる症状です。

首の後ろ側の筋肉が痛い、張っている

デスクワークを長時間される方や同じ姿勢を長時間とっている方(調理師や美容師)に多い症状です。

正しい姿勢であれば頭はまっすぐ肩の上に載っていますが、デスクワークなどをしているときは目線がやや下に向きがちで頭は肩より前方に傾く形となります。

この姿勢が長時間続くと首の後ろ側の筋肉(僧帽筋、後頭下筋、板頭状筋)が常に緊張した状態となります。

そのためこれらの筋肉が疲労して、痛みが出てしまうのです。

治療法は?

筋肉の疲労とダメージを取り除くためには、まず日常生活の姿勢を正す必要があります。

パソコンを長時間使う方はモニターの位置を目線の高さまで上げる、スマホをよく使用する方は頭がうつむき加減になっていないか気を付ける、といったようにご自身の姿勢を見直してみてください。

日常生活動作をチェックしたら次はストレッチです。

整形外科クリニックではリハビリの先生の指導のもと正しいストレッチを行います(詳しい内容を知りたい場合は”リハビリ”の記事を参照してみてください)。

痛みが強い場合ロキソニンなどの痛みどめや筋弛緩薬などを内服したり、貼り薬を併用する場合もあります。

それでも症状の改善に乏しかったら筋膜リリースという手段もあります。

筋膜リリースとは痛んだ筋肉の筋膜に生理食塩水を注入する方法です。筋肉間の滑走をスムーズにし、痛みの原因となっている物質を洗い流します。安全のためエコーを使用して実施します。

首の痛みだけでなく、手や腕の痺れもある場合

年齢を重ねると首の骨は変形を起こしますが、さらに痛みがある場合変形性頚椎症を疑います。

首の骨と骨の間にあるクッションの働きをしている組織を椎間板と言います。この椎間板が傷んで痛みが生じる疾患を頚椎椎間板症といいます。

椎間板が後ろの方に突出してしまい手の痺れや痛みなどが生じると椎間板ヘルニアとなります。

首の骨が変形を起こしてしまい、首の中を通っている神経と擦れて手や腕が痺れ、痛みが生じることがあります。

首の中を通っている神経は腕や手の知覚を司っているので腕や手の痺れが生じます。この場合変形性頚椎症性神経根症を疑います。

検査は?

レントゲンを撮って、首の骨の変形や神経の通り道の狭そうなところをチェックします。

神経などをより細かくチェックする場合にはMRI検査を行います。

治療は?

首の痛みに対しては、痛みどめの飲み薬または貼り薬を使用します。

手や腕の痺れに対してはステロイドの静脈注射、薬だとロキソニン・メチコバール・リリカ・タリージェなどの神経痛に効くような薬を使用します。

手の痺れや痛みの症状はだんだんと弱まってくることが多く、薬も次第に減らせるようになっていきますが、そうでない場合手術をお勧めすることもあります。

日常生活での注意点