肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節周囲炎(五十肩)は、肩関節が痛み、関節の動きが悪くなります(運動制限)。

原因の明らかな他の疾患(腱板断裂 、石灰沈着性腱板炎 、インピンジメント症候群 、変形性肩関節症など)をすべて除外した上で「肩関節周囲炎」と診断することになります。

肩関節周囲炎=「五十肩」には特に原因が認められないことが多く、ときに軽微な外傷の繰り返しの後に肩の不快感や疼痛で発症します。好発年齢は40~60歳代です。

MRI、エコーで腱板断裂がなかったり、レントゲンで変形性肩関節症や石灰化腱板炎などがなく、肩の痛み、夜間痛などあれば肩関節周囲炎(五十肩)と考えます。

それでは五十肩の特徴的な症状について説明します。

肩関節周囲炎(五十肩)の症状

一般的には炎症期→拘縮期→回復期というフェーズがあります。

1.急性期

炎症がおきていて痛みが最も強いフェーズです。この時期に整形外科外来を受診されるケースが多くなっています。

痛みを抑えるためにロキソニンやセレコックスを内服していただきます。

それでも痛みが続く場合はステロイドと局所麻酔薬を肩関節内へ注射します。

2.拘縮期

痛みが軽減し、肩が硬くなり(関節包と呼ばれる組織の繊維化が起きています)動きが制限される時期です。この段階から肩のリハビリをはじめていきます。

温熱療法と併用して、緊張した肩の筋肉をやわらげます。

貼付剤、塗布剤などを使用して残った炎症をおさえるのもいいと思われます。

3.回復期

肩の硬さが雪解けのように柔らかくかり動きはじめる時期、痛みどめ、貼り薬と併用しながらリハビリをおこなっていきます。

それでもなおらなかったら

サイレントマニュピレーション

リハビリを3〜4か月継続しても良くなる気配がない場合や、短期間での回復を希望される場合には、日帰り治療としてマニピュレーションを行っている施設があります。これは全身麻酔で痛みをなくした状態で医師が肩関節を動かし、繊維化して縮んだ関節包を広げる方法(徒手授動術)です。身体にメスを入れる手術ではありません。マニピュレーション直後から肩関節の動きは良くなり、その後3週間リハビリを頑張っていただくと凍結肩の症状は解消します。ただしマニュピレーション時に腱板を痛めてしまったり骨折を起こしてしまう事例もあるため適応は慎重にします。